前回は発毛と増毛の違いについて解説をしました。
カツラの着用などの増毛方法は日本皮膚科学会が発表した「男性型脱毛症(AGA)の診療ガイドライン2017」でC1ランクの「行ってもよい」に位置付けられています。
これらはQOL(Quality of Life 生活の質)の向上は望めますが、満足度は低いという結果となりました。
なので見た目が変わって一時的には薄毛が気にならなくなり自信に満ちた自分を取り戻せますが、[
カツラのケアや取替費用などのランニングコストを考えると不満とストレスが蓄積していきます。
私としては全くお勧め出来ません。
薄毛の改善にはミノキシジルの塗布とフィナステリド錠の飲用が現時点での最良の方法です。
今回は上記のガイドラインでBランクの「行うよう勧める」に位置付けられている【植毛】について解説をしていきます。
薄毛を解決する「植毛」という手段【使う毛を間違うと地獄です】
「植毛」とは後頭部の元気な頭髪を前頭部の生え際などの頭皮に移植をする方法です。
頭皮に直接植え付ける為、施術が上手くいけば即時に頭髪が増えますので短時間での薄毛の改善が可能です。
また、カツラ着用による蒸れやズレ、増毛による牽引性脱毛症のリスクもありません。
植毛は医療行為
植毛には「自毛植毛」と「人口毛植毛」の2種類があります。
どちらも資格を持った医師の診察並びに施術が必須と法律で定められています。
なので育毛サロンではこの様な行為を行う事が出来ません。
では「自毛植毛」と「人口毛植毛」は一体どの様な違いがあるのでしょうか。
順に解説をしていきます。
非常に危険な「人口毛植毛」
いきなりこの様な見出しで書かせていただきますが、「人口毛植毛」とはポリエステル繊維やナイロン繊維などの合成繊維で作られた「人口毛」を頭皮に直接植え込む植毛方法です。
日本で開発された植毛法なので、日本においては植毛=人口毛という認識が強いと思います。
人口毛植毛は施術希望者のイメージする頭髪の量や長さを自由にカスタマイズ出来るというメリットがありますが実はデメリットの方が非常に多いのが実状です。
植毛先進国と言われているアメリカ合衆国では人口毛を植毛する事を法律で禁じています。
日本でも先述した日本皮膚科学会発行の「男性型脱毛症(AGA)ガイドライン2017」では
最低ランクであるDの「行うべきではない」に分類されました。
なぜこの様な評価なのか、具体的に説明をしますと、
私達人間の身体には異物(自分の身体の組織ではないもの。例:細菌、微生物、寄生虫、がん細胞など)
が体内に入ったり、表面に付着すると、
免疫システムによる防衛反応で身を守る行動を自動的に行う仕組みが備わっています。
人口毛もポリエステルなどの合成繊維の為、異物と認識されます。
異物と認識されたものは出来るだけ早く体外に排出しようと身体が反応するので、人口毛も非常に抜けやすいのです。
せっかく大量の人口毛を植毛しても1年もすれば総量の60~70%が抜け落ちてしまうと言われています。
これでは痛みに耐え、費用を掛けたにも関わらず、再度同じ施術を繰り返さなくてはならなくなります。
異物に対して敏感な方は頭皮に炎症やアレルギー反応が出て、頭皮トラブルを招く結果にもなってしまいます。
また、頭髪は伸びる事によって毛穴に詰まった皮脂や汚れを頭皮の外へ排出する機能を持っていますが、
人口毛は育ちませんし、伸びもしません。
汚れが毛穴の中に溜まったままになってしまい重大な皮膚トラブルを引き起こす可能性も大きいのです。
そうなると人口毛に隣接した自毛エリアにも炎症が拡がり、
結果的に抜け毛が増え、薄毛が進行するという大変残念な結果になってしまいます。
日本では「行うべきではない」というガイドラインを発表はしていますが、
禁止をしている訳ではないので、クリニックによっては人口毛植毛を行っているところもまだまだ無くならないという現状があります。
薄毛を改善したいのに薄毛を促進してしまう、何とも残念な植毛方法と言わざるを得ません。
プロサッカーのウェイン・ルーニー選手も行って一躍有名になった「自毛植毛」
「自毛植毛」は健康な頭髪が生えている後頭部や側頭部の頭髪(毛根含む)、頭皮を丸ごと切り取って移植する植毛方法です。
「男性型脱毛症(AGA)ガイドライン2017」ではBランクの「行うよう勧める」に分類されています。
薄毛治療先進国では盛んに行われており、表題のルーニー選手も過去に施術した実績があり一躍脚光を浴びました。
先述の通り、皮膚を切り取り移植するという、麻酔を使用した外科手術なので術後は痛みを伴います。
植毛された自毛は一旦退行・休止期に入り抜け落ちてしまいますが、その後成長期を迎え、新しい頭髪が生えてきます。
自毛(自分自身の組織)が体内に入るので、人口毛の様に異物と認識されずに皮膚トラブルが起きないのが大きなメリットと言えます。
また、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けていない部位を使用して植毛すれば、
移植後もその性質を受け継いだまま成長していきますので、
太く、硬い毛が生え際などで育ってくれます。
デメリットを挙げるとすると、
自毛を使用するので、移植出来る本数が限られている事です。
後頭部と側頭部の毛量も少なくなっている場合はどの部分を採取すれば自然な仕上がりになるかという点も見ながら考える必要があります。
なので、医師の技術次第で成功確率や仕上がり、自毛が定着する率が左右されるという事です。
ですが、一定の技量を持った医師が施術をすれば95%の定着率と言われていますので、
ミノキシジル&フィナステリド治療に次いで推奨される薄毛改善の治療法となっています。
また、一度に大量の植毛を行うと定着率が下がりますので、施術を複数回に分ける必要があり、
その分の時間と費用が掛かります。
※自毛植毛法は健康保険証を使用しての治療が出来ない自由診療となっています
思い切って植毛手術を行うか、投薬治療を行うかはやはりカウンセリングが必須
今回は「自毛植毛」と「人口毛植毛」について解説をしました。
自毛植毛のメリット、人口毛植毛の危険なデメリットをご理解いただけたかと思います。
それと同時に、現在薄毛に悩んでいるあなたは費用面や方法をどれにすれば良いか迷ってしまわれていると思います。
その様な場合は先ず、プロの医師に相談をし、投薬治療で予防や改善が可能か、それとも植毛をするべきなのかのアドバイスをもらうのが一番と考えます。
AGA(男性型脱毛症)は自分の意志とは裏腹にどんどんと進行していきます。
迷っている時間があるのなら、すぐに無料でカウンセリングを受ける事を強くおすすめします。
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